期待値の管理
おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。
今日は、自分に対する期待値を管理しよう、というお話。
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税理士に対する期待
個人事業主や会社経営者・経理担当者でもない限り、税理士と関わることは少ないでしょう。
そうすると、「税理士」なる存在に対し、高い期待値を持たれていることもあります。
特に、私などは「元国税調査官」でもありますので、税務調査対応についてはクライアントからの大きな期待を感じます。
ただ。
チマタで流れる情報を見ると、
- 重加算税をかけられそうなところを、助けてもらえた。
- 多額の税額を処分されそうになったが、税務署と交渉してもらって大幅な減額をしてもらえた。
- 何だったら、納税どころか還付金が振り込まれた。
などなど。
まぁ、これらが全くのウソだと断じるつもりはありません。
まぁ、そういうこともあるかもね
上の情報、一つずつ中身を見ていきましょう。
まず、重加算税から助けてもらえた。
重加算税というのは、売上や経費をごまかした場合に掛けられる重たい罰金のことです。
ここは税務調査でも一番の論点で、クライアントの行為が「税金をごまかした」と言えるのかどうかがポイントなのです。
残念ながら調査官は、「税金をごまかした」方向で物事をとらえる傾向にありますので(そういう教育を受けている)、
そこは税理士として事実関係を公平に検討したうえで
「クライアントのしたことはごまかしとまでは言えないのでは?」
という反論は、税理士としてもちろん行わなければなりません。
「重加算税から助けてもらった」とは、その反論が成功した、ということなのでしょう。
ただし。
私自身が検討しても、どうしようもないケースはある。
隠し口座に売上代金を振り込ませていたとか、領収証を偽造したとか。
これは、どうしようもない。
むしろ、自分が悪いことをした自覚を持ってもらうため、重加算税を掛けてもらったほうがいいくらいだと思っています。
2つめ。税務署と交渉しての減額。
ポイントは「交渉」。
交渉するということは、税務署側の指摘がグレーであるということが前提です。
売上が明らかにモレていたとか、事業に関係ない領収書を経費にしていたなど、どう見ても明らかな間違いはそもそも交渉の対象ではありません。
税務署側も議論の俎上に載せたけど、完全に押し切れるほどではない間違い。
こういうものであれば、交渉はドンドン行うべきです。
あと、考えられるのは、税務署側の誤り。
これもあり得る。
税務署側が事実関係を誤って理解しているか、税法の考え方を間違えたか。
残念ながら、こういうこともあります。
これは、「交渉」ではなく、必要なのは「議論」ですね。
議論は徹底的に行うべきです。というか、税務署側の誤りでクライアントに損害が与えられるというのは避けなければいけません。
こういう、税務署側の誤りを正した、という部分もあるかもしれませんね。
最後のパターン。調査に入られたけど還付金が振り込まれた。
これは単に、元の申告書が間違っていただけでしょうね。
結果、お金が入ってきたとはいえ、間違って申告をしていたということは決して褒められた事態ではありません。
過剰な期待は「失望」になる
一応、大前提です。
明らかな間違いはサッサと認めて調査を早期終結させる、というのが私の考えです。
税務調査が長引いて良いことはありません。
私に対する期待値、きちんと下げておきますね笑
最初に書いたような情報が流布されていますので、税理士に過剰な期待を持たれていることがあります。
なので、そこはきちんとできることできないことをご説明しております。
税理士は魔法使いではありません。普通の人間です。
税理士の使命は、納税義務の適正な実現を図ること。
もし、クライアントが税金をごまかしていたような場合、必要があれば税務署側に立つこともあり得ます。
ごまかした申告の是正をしなければなりませんからね。
税理士に対して、私自身に対して過剰な期待を持たれているなら、それはよろしくない。
期待は満たされないと失望に変わります。
であれば。
あらかじめクライアントには情報をお伝えし、コミュニケーションを取り、向けられる期待値を適正な数値にコントロールする。
こういうことも必要ではないでしょうか。
【編集後記】
昨日は朝一のブログ更新。
午後からは冬物をクリーニングに出したり、
法人のクライアントの申告作成。