成長するために「経験値をためる」という視点
国税職員時代は、「自分の経験値がいかに貯まるか」という視点で日常の仕事をこなしていました。
きっかけは税務署の窓口当番
税務署で現場に出て思ったのは、仕事を数多くこなして経験を積むことが、結果として自分の財産として帰ってくるなということ。
採用されたばかりのころは、税務署の相談窓口に出たり、納税者からの質問電話に対応したり。研修を終えているとはいえ、所詮は「総論」しか知らない状態で、個別具体的な税制や税務署での運用などはまったくもってわかっていない状態。
例えば、
- e-taxの番号を忘れたから教えてほしい
- 源泉所得税を何月分まで納めたのか、領収証をなくしてしまったので教えてほしい
- 路線価をどこで調べればいいのかわからない
などなど。
こういうことは、実務的なことは研修ではやらないんです。研修でもらった教科書にも書いてないし。
周りの先輩職員に聞きに行って一つずつ覚えながらこなしていきました。
最初はとてもつらかったですね。わからないことだらけで。でも、こういう質問に対応するたびに知識・経験値が増えていって、初年度の最終四半期にもなるとほとんど自分でこなせるようになるもんなんです。
これも、「新人の仕事」として窓口当番が多かったり、電話番をすることが多かったおかげでしょうか。実際に納税者とお話しする機会こそ、一番勉強になるなという考えを持つに至った一年でした。
成長したいなら「経験値をためる」という視点で動く
税制は範囲が広く、私の場合は法人の調査担当に異動したこともあり、仕事で使う税目としては
- 法人税
- 消費税
- 源泉所得税
- (印紙税)
となります。ここまで来ると、事前に分厚い解説書を読み込んで・・・ということは不可能。
税務調査で論点になった部分を集中的に学んで血肉にした方がかえって「効率がいい」のです。目の前で実際の事例に対応しながら学んだことはそうそう忘れませんし、そこだけ調べて身につければいいので範囲も限定的。そうなってくると、いかに税務調査の件数をこなしていろんな会社に調査に伺うか、あるいは、更正の請求などの内部事務をこなすか、という視点で動くようになるのです。そして、経験値をためる以上、成長も早い。
思い出すのは、国税局調査部の時に、事業投資組合の損失を否認できるかどうかを論点として調査を進めていたこと。
調査部の調査は複数人で会社に伺って行いますので、各人ごとに担当する論点を割り振るんです。そのとき、事業投資組合について調査担当になったことから、いろいろ勉強しました。その際に、通達で経理処理方法が定められていて、取る方法によっては税額にモロに影響が出るということを知りました。
事業投資組合の経理処理について、法人税法をザーッと学んでいても学習するでしょうか。さらっと読み飛ばす自信しかない。
でも「期間限定」だからこそ
こういうやり方は、自分への負荷は間違いなくかかります。
「経験値をためる」には、他の人の通常量以上の仕事をこなす必要があります。
正直、しんどいです。どうして自分がこんなに働くのか、と思いたくなります。バーンアウトしそうにもなります。
ただ、その当時あれだけ働いたので、税理士として開業した自分がいます。経験値を財産に換えて、その財産で今はご飯を食べていますから。後悔はしていません。ただ、国税職員時代12年間だけだから可能であっただけで、もうああいう働き方はしたくないかな(できない)と思う次第です。
【編集後記】
のんびり働くのもアリだと思います。公務員だと、給料にはっきり差がつきませんので。
でも、見えない部分での差は間違いなくついています。20年30年積み重なると非常に大きなものに。
まぁ、私はその前に力尽きて辞めてしまったわけですが。
さて、昨日はゆっくり目に。午前中はオフにしてのんびり。夕方からブログの更新と事務所ホームページのコラム掲載。
夜は信長の野望。そろそろ内政が整ってきたので、次の手を考える。次の相手は北条かな。
そして洗面台の電球が切れたので、買いに行かねば。
【今日のBGM】
DOLLCHESTRA「Tragic Drops」
今日は雨ですか。