国際税務を学びなおす10~課税方法の整理~
おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。
今日は国際税務を学びなおす、非居住者や外国法人への課税方法を整理していきます。
<恒久的施設編>
非居住者に対してどう課税するのか?
ポイントは2つ。
- その非居住者が「恒久的施設(PE)」を日本国内に持っているのかどうか
- その非居住者にどのような種類の所得があるのか
ここを軸にお話ししていきます。
最初に大前提を押さえておきましょう。
非居住者は何に対して税金が課されるのでしょうか。
国内源泉所得
でしたね。
要するに、「日本国内での稼ぎ」に課税されるとお考え下さい。
そして国内源泉所得に対してどのように課税されるのか、
- PEがある場合
- PEがない場合
の2つにパターン分けされています。
まずは、PEがある場合から。
簡単に、日本に支店PEがあって、そこで商売をしている非居住者の方を考えてみましょう。
その支店で稼いだ国内源泉所得については、居住者とほぼ同じように所得税の確定申告をすることになります。
(※この支店で稼いだ国内源泉所得のことを、「恒久的施設帰属所得」と呼んでいます。)
ここまではシンプル。
でも、その非居住者の方が、日本支店と関係なく、例えば日本の会社の株式投資をしているとしましょう。
これはどう課税されるのか?
もちろん、これは「日本国内での稼ぎ」となりますから、当然課税はされますが、
支店の稼ぎとは別計算で所得税の計算をすることとなるのです。
しかも、そのうち一部の所得に関しては、源泉徴収もされてくるという仕組み。
次に、PEがない場合。
この場合はどうするのかというと、
国内源泉所得の種類によって、確定申告が必要な所得と源泉徴収の対象となる所得に切り分けられてますので、それぞれ税金を計算して終了。
外国法人に対してどう課税するのか?
外国法人は少し複雑かもしれません。
法人税と所得税、双方が課税されることとなります。
ただ、ポイントは非居住者と変わりません。おさらいしましょう。
- その外国法人が「恒久的施設(PE)」を日本国内に持っているのかどうか
- その外国法人にどのような種類の所得があるのか
まず法人税から。
法人税、といっても、実は非居住者と大枠はそこまで変わりません。
法人税の対象になるのは、
国内源泉所得
です。
そして、
- PEがある場合
- PEがない場合
で、パターン分けするのも同じ。
PEがある場合からお話しします。
日本に支店PEがあって、そこで商売をしている外国法人を考えてみましょう。(シチュエーションが同じですね)
その支店で稼いだ国内源泉所得については、日本の会社とほぼ同じように法人税の確定申告をすることになります。
さらに、その外国法人が、日本支店と関係なく、別の種類の稼ぎがあるとしましょう。(ここはあえて変えています)
これは「日本国内での稼ぎ」となりますから法人税が課税されるのも同じで、
支店の稼ぎとは別計算で法人税の申告をすることとなるのです。
次に、PEがない場合。
この場合はどうするのかというと、
外国法人が稼いだ国内源泉所得の種類によって、法人税の申告が必要な所得が決まっていますので、その分だけを申告しておしまい。
さて、外国法人の場合はこれで話は終わりません。
続いて所得税の話になります。
あ、所得税の確定申告をする、ということではなく。
外国法人の特定の国内源泉所得に対して、所得税が源泉徴収されますよということ。
例えば、日本国内で不動産賃貸収入があるとか、株式投資をしていたとか。
ちなみに、これはPEのありなしは関係ありません。PEがあろうがなかろうが、特定の国内源泉所得に対してに対しては源泉徴収はなされます。
最後に整理
概要を整理しておきましょう。
まず非居住者から。
- PEがある場合→「PEが稼いだ国内源泉所得」と「それ以外の国内源泉所得」に分けてそれぞれ所得税を計算。さらに一部の国内源泉所得については源泉徴収の対象です。
- PEがない場合→国内源泉所得の種類によって、確定申告が必要な場合と源泉徴収の対象になる所得の場合分け。
次に外国法人。
- PEがある場合→「PEが稼いだ国内源泉所得」と「それ以外の国内源泉所得」に分けてそれぞれ法人税の申告。さらに一部の国内源泉所得については所得税の源泉徴収の対象になることも。
- PEがない場合→国内源泉所得の種類によって、法人税の申告が必要な場合と所得税の源泉徴収の対象になる所得の場合分け。
【編集後記】
長くなりましたがこんなところ。
よくわからなくなったら、2つのポイントに立ち返って大枠から考えるようにしましょう。
さて、昨日は朝から千葉県の成田方面に出張。税務調査の打ち合わせ。
夕方東京に戻り、カフェでブログの更新。夕食後に久しぶりの映画鑑賞。