加算税制度を整理する③~帳簿の記載度合~
おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。
今日は「加算税制度を整理する」、帳簿を書いている度合いによっては罰金が増えるかも。
<参考>
帳簿を作っていないと、罰金が増えます
近年の国税通則法改正で、罰金が増える制度がつくられました。
「帳簿の提出が無い場合等の加算税の加重措置」
と呼ばれています。
この制度は、
- 過少申告加算税、もしくは無申告加算税が課税される場合
- 帳簿を作っていないor書き方が不十分なときは
- 加算税の税率が増える
というもの。
帳簿の記載度合い
個別の制度の中身を見ていきましょう。
【Q1:どの税金が対象なのか?】
所得税、法人税、消費税
です。
そして、令和6年1月1日以後に法定納期限が到来するものから適用開始です。
→個人事業主の場合は、令和5年分の申告から適用されています!
【Q2:所得税の場合は、会社員も対象になるの?】
→具体的には、「事業所得」「不動産所得」「山林所得」のご申告をしている場合に、この制度の対象となります。
【Q3:どんなシチュエーションで適用されるの?】
→税務調査を受けた際に、調査官から帳簿を見せるように依頼されたとき
なのです。
ということは、税務調査を受ける前に、申告書を修正したり期限後の申告を提出した場合には、この制度は関係ない、ということです。
【Q4:帳簿はどこまで書いておけばいいのか】
まず、帳簿を作っていない場合は、アウトです。
次に、帳簿への記載が足りない場合、こちらが一番問題です。
具体的には、
売上金額の記載が2分の1未満→記載が「著しく不十分」
売上金額の記載が3分の2未満→記載が「不十分」
となります。
ポイントは、売上の「金額」で見ていくということ。
【Q5:簡単なメモならあるんだけど・・・】
→大丈夫です。
帳簿の作成と認められるケースはあります。
具体的には、
- 日々の売上金額の合計金額がノートなどに書いてあって、
- 売上の請求書の写し等が保存されている場合で、
- 取引ごとに取引相手と取引金額が記載されている
のであれば、この制度における「帳簿」と扱われることがあります。
【Q6:ごめん、メモもないんだけど・・・】
→まだ、何とかなります。
売上の請求書の写し等について、
- 取引年月日、相手方、金額が記載されているもので、
- 年月日順に整理して保存するなど、帳簿っぽく規則的に保存している場合は、
この制度における「帳簿」として扱われるケースもあるようです。
【Q7:加算税が加重される割合】
- 帳簿を作っていない、記載が「著しく不十分」→10%
- 記載が「不十分」→5%
ポイント(私見)
帳簿をきちんと作ることが一番良いのですが、
「これから調査に行くって言われた」
ような場合では、帳簿の作成が間に合わないことも多いでしょう。
そうであれば、まずは売上の請求書をきちんとそろえておく。手元になければ、取引先にお願いしてコピーをもらう。
もしかすると、この加重制度が適用されないかもしれませんので。
ちなみに、念のため、この「売上の請求書」をそろえておけば「帳簿」と認められるのはあくまで、
「帳簿の提出が無い場合等の加算税の加重措置」
の制度でのお話です。
青色申告だったり、他の制度や特典には関係ありませんので気を付けましょう。
【編集後記】
スポットで税務調査立会いをしていますので、この加算税がどれくらいかかるのかについては、正確な理解が必要だと自分では思っています。
お客様にとって、どう行動するのが最善なのか、ご提案できるようになりたいですね。
さて、昨日は朝から市ヶ谷で会合に参加。
池袋で食事と買い物をして帰宅。
夕方にブログ更新。