「証拠を出せ」と言われたら

おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。

今日は「証拠」について。

「それ、エビデンスありますか?」

税務調査を受けていると、調査官から自分・自社が行った取引について色々と説明を求められることになります。

調査官の求めに応じて話をしていると、上のような質問をさらに受けることがよくあります。

エビデンス、要は証拠のことですね。

税務調査は、「納税者の提出した申告書の内容が正しいかどうか」をチェックするものでありますが、

調査内容のほとんどは「事実内容の確認」なのです。

調査を受けるにあたって、あらかじめ保存されている帳簿や請求書・領収書などを用意しておくように求められますが、これは調査官が申告書の大元となっている「納税者がどのような取引を行っているのか」を確認したいからです。

納税者の「お話」を一生懸命伺うのは当たり前のことですが、それはあくまで口だけの話なので、事実内容の確認という観点では弱い。

「お話」が本当なのか、事実なのかを「別の証拠」で裏どりをする必要があるのです。

で、上の質問、「エビデンスを出してほしい」という依頼。

「お話は分かりました。では、あなたが今しゃべった内容が本当なのかを確認できる資料を見せてください」

とこういう意味になるのです。

「エビデンス」と言われても・・・

さて、実際にエビデンスと言われても、何を出せばいいの?

と困惑する納税者も多い。

そりゃそうですね。普段の事業活動で、「エビデンス」なるものを意識していることはほとんどないでしょう。

顧問税理士に見てもらうのは、請求書・領収書くらいなもので、個別的に税理士から質問されるならともかく、それ以上の書類や資料を見せることはあまりないでしょう。

ひとつ、調査官側の言い訳をしておくと・・・

あまり個別具体的な指定をしてしまうと逆に資料の出が悪くなる、という懸念があるのです。

例えば・・・

決算書に載っている棚卸資産の内容を見たいという時。

調査官から「棚卸表」がありますか?という質問を受けたとします。

でも、調査対象の会社では、棚卸資産を「在庫表」という書類を作って管理していた。

まぁ、こんなことはよくあるのです。

そうすると、会社担当者によっては、

「(在庫表はありますが)棚卸表は作成していません」

という、かっこの中身を言わないで、指定の書類は存在しない、という回答をすることもあるのですね。

何だか意地の張り合いみたいなものですが、これは調査官が悪い、となるのです。

だからこういう場合は、

「決算書の棚卸資産の内容を確認できる資料を出してください」

とお願いをするようにしているはずです。

そう、資料の名前を具体的に言わないのはこういう理由からなのです。

だからこそ、依頼された側が何を出せばいいのかわからず困惑してしまうこともよくあるのですが・・・。

逆質問していい!

調査官からの依頼事項がよくわからない、という時。

どんどん調査官に逆質問しましょう。

「調査官はどんなことを確認したいのですか?」

「何が気になっているのですか?」

「曖昧なご指示では資料を探せません。もう少し具体的におっしゃっていただけますか?」

ということを質問しても全然問題ありません。

むしろ、調査官としては安心します。

調査官側の依頼に関して、認識に齟齬がある状態で作業が進んでしまうと、結局確認事項の検証ができないまま無駄な時間が過ぎてしまうことになりかねない。

そうすると、調査全体の日程にも影響しかねない。

別に会社が悪いわけではないのに。調査官側の依頼の仕方が悪いかもしれないのに。

依頼事項がわからないなら、わからないと言いましょう。

意味不明なら、意味不明だと指摘をしましょう。

最初にも書きましたが、調査官は事実関係の確認のために資料のお願いをしているので、その事実関係が確認できない以上調査を終わらせるわけにはいきません。

調査官にも会社にも、お互いに不幸です。

なお、資料の提出方法についても、都合が悪い点があればドンドン調査官に相談しましょう。

例えば、ある資料を3年分用意してほしいと調査官から依頼されたが、あまりにも膨大なため提出に時間がかかるという場合。

こういう場合は、調査官に個別の相談して、資料の提出に膨大な手間・時間がかかる旨率直に相談しましょう。

そこは、調査官も配慮してくれるはず、です。

3年分といったけど、とりあえず直近1年分だけでいいですよとか、月を指定するからそこだけ出してほしいとか。

調査官も、会社の資料保存状況を把握しているわけではないので、厳しいなら厳しいとサクッと相談してしまった方が、案外調査が円滑に進みやすいものです。

税務調査は一方的に納税者が質問を受けるものではありません。

納税者側も調査官にどんどん質問してコミュニケーションを取りましょう。

意外とスムーズに調査が終わるかもしれません。

【編集後記】

昨日は朝一のブログ更新。

午後から買い物と翌日の出張の準備。

夕方から「モンハンワイルズ」。

夕食後はオンラインイベント視聴。