これくらいなら大丈夫
おはようございます。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。
今日は、「これくらいなら大丈夫」は本当か?
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よくあるパターン
飛び込みで税務調査対応をしているとよく言われることがあります。
私:調査に入られる心当たりはありますか?
クライアント:「売上を若干調整しています」
私:具体的にはどれくらいで?
ク:「900万円くらいで毎年申告している」
私:本当の売上はいくらなんですか?
ク:「1500万円くらいだと思います。」
・・・そりゃ来ますよ、というもの。
税務署側も、やたらめったら調査には来ないんですね。
税務署の職員に比べて、納税者の数は圧倒的に多いです。
特に個人事業者の調査なんて、割合にすると1%未満。
調査を受ける経験がないまま廃業する方が圧倒的に多いのです。
その中で、わざわざ調査対象に選ばれるには、選ばれるなりの行為をしているということ。
まさに売上の調整がそうですし、
消耗品費が他の経費に比べてやたら多いとか、
雑費の金額が多いとか。
反対に言うと、軽いミスくらいなら調査には来ないのです。申告書の書き方がちょっと間違ったとか、入れなきゃいけないところの記載が漏れていたとか。
そもそも、国税庁の確定申告コーナーで作っているならそんなに大きな記載誤りは起きにくいし、税務署に行けば職員がそばで対応もしてくれます。
窓口では特に何も
言われなかったから大丈夫だと思っていた。
これもよく言われるのです。
それは当然で、税務署の窓口はただ納税者から出された書類を受け取るだけ。
別に申告書の中身が合っているかどうかをチェックする場ではありません。
第一、窓口で申告書を出されたとしてもそこまでじっくりチェックできるわけがないのです。次から次へと納税者が並びますのでね。
ましてや、売上や経費の数字が合っているかどうかなど、検証の仕様が無いではありませんか。
また、税務署は泳がせることも多いです。
この申告、何だか怪しいなと思っても、その年に調査には来ません。
3年ほど待ってから連絡があるのです。
これが申告を出していない方の場合、5年ほど溜めてからいきなり調査の連絡がやってきます。
税理士の立場としては、そんなに溜めないでさっさと調査に来てあげればいいと思うんですけどね・・・。
5年間分の申告書をまとめて調査をされて、申告誤りに罰金が加わるとわりとえげつない金額になります。
そもそも税金を払う相手は、税務署だけではもちろんありません。
自治体に対しては住民税、健康保険料、事業税だって。それぞれの罰金もありますよ。
私が対応した調査では、追徴税額の総額が1000万円を超えるケースも経験したことがあります。
税務署との「交渉」で分割払いもできないわけではないが、一体、何年かかって支払いを続けることになるのでしょうか。
当然、本人が悪い
これくらいなら大丈夫だろうと思いつつ、
ずるずる不正確な申告を続けついには税務調査も受ける羽目になってしまった。
そして当然結果は、あまりにも厳しいものになる。
税理士としてはできることは、実はかなり少ないのです。
税務調査に行くと言われた時点で、かなり情勢は不利です。
せいぜい、明らかな誤りを調査開始前に修正することくらいです。
税理士は魔法使いではありません。
納税者の明らかなミスを帳消しにするようなことはできないのです。
なので、「これくらいなら大丈夫」という意識は、捨ててしまった方がいいでしょう。
「他の人もやっている」「同業者はみんなやっている」も同じですよ。
他の人がやっていようが、同業者がやっていようが、申告誤りの責任は自分が負うことになるのです。
自分のところには来ないだろうと思っていると、意外と来たりするのです。
追徴税額を考えると、割に合いません。
【編集後記】
昨日は朝一のブログ。
午後から外出。
帰宅後にブログ更新。